デジタルマーケティングの主要な手法のひとつであるメールマーケティング。近年、マーケターの間で改めてその有効性が注目されています。メールマーケティングとは、電子メールを活用して商品やサービスの認知度向上・販売促進を図るマーケティング手法のことです。
メールマーケティングは比較的低コストで実行できる施策ですが、見込み顧客や既存顧客と長期的な関係を築きやすく、効果を上げやすいマーケティング手法です。しかし、「メールマーケティングに興味はあるけれど、具体的な戦略が描けていない」という人も多いのではないでしょうか。
本記事ではメールマーケティングで最大の効果を出すための方法や事例について解説します。本記事を読むことで、自社にぴったりのメールマーケティング戦略を出す手がかりが見つかるでしょう。
メールマーケティングとは
メールマーケティングはDMのように送料がかからない、かつ配信のタイミングも自由に設定できる点が大きな特長です。
見込み顧客や既存顧客との関係性を保つことができることから、どのような業界・業種の企業でも有効なマーケティング施策です。
「一度きりの取引で終わってしまうことが多い」
「自社の存在を忘れられてしまう」
といった課題がある場合はメールマーケティングを継続することで自社の認知を高め、ターゲットの中でニーズが発生した時に「第一想起」を獲得することができます。
分野にもよりますがBtoBビジネスの場合、第一想起した商品を導入する確率は55.3%という調査結果が株式会社WAKARU様より公開されています。
出典:株式会社WAKARU
見込み顧客が商材の検討を始めた時に、真っ先に自社の名前が頭に浮かぶ状態を作り続けることで、商談のきっかけ作りを優位に運ぶことができます。
また、MAツールなどを使ってメールマーケティングを行うことで、開封率 やクリック率などの分析ができ、どのターゲットが、どのような話題に興味を持っているか?といったニーズの検知をすることも可能となります。BtoC商材の場合はそのメールをきっかけに購入に至るケースもあるでしょう。
このように、メールマーケティングは大きな費用をかけずに顧客との接点を保ち、継続的にコミュニケーションをとることが可能です。一方通行のDMや広告に比べ、成果が分かりやすく、取り組みやすい施策と言えます。
メールマーケティングのメリット
メールマーケティングには、以下の3つの大きなメリットがあります。
- 1.低コストで実施できる
- 2.効果の計測と改善が容易
- 3.自社の認知度を高め、ニーズ発生の検知ができる
これらメールマーケティングのメリットについて、詳しく解説します。
1.低コストで実施できる
メールマーケティングは、ほかの広告手法と比べて低コストで運用できるのが大きな利点です。
主な費用は以下の通りです。
- メール配信ツールの月額費用:一般的な小規模ビジネス向けのツールで月額5,000円程から利用できます。
- デザイナーやライターの人件費:メールテンプレートのデザインにこだわる場合や、専門のライターにメール本文を書いてもらう場合は1案につき数千円から依頼可能です。
一方、以下のようなコストをかけずに実施できます。
- 広告掲載費用:雑誌広告やテレビCMなどでは数十万円から数百万円が一般的です。
- 制作費:紙媒体の広告や資料を制作する場合は数万~数十万のコストがかかります。
- 印刷費、発送費:ダイレクトメールなどでは1件あたり50円~200円のコストがかかります。
このように、メールマーケティングは比較的低コストで運用できます。コストは配信対象者数に応じて増えていく従量課金の場合が多いため、無駄なコストが発生しにくい点も特長です。
2.効果の計測と改善が容易
メールマーケティングは効果計測と改善が比較的容易です。メールの開封率やクリック率など、様々な指標を測定し改善に活かすことができます。
- 開封率
- クリック率
- 成果率
- ROI(投資対効果)
上記のような指標を分析することで、メールの内容やデザイン、配信タイミングなどを最適化し、より良い結果を出せるよう改善ができます。
また、A/Bテストを実施して複数のパターンを比較検証することで、件名やデザイン、文面など様々な要素から最適なパターンを見つけ出せます。
3.ターゲットに合わせた最適化が可能
メールマーケティングの大きな利点は、ターゲットごとにメールの内容を最適化できる点にあります。
例えば、以下のような属性別の最適化が可能です。
ターゲット属性 | 最適化の例 |
---|---|
年齢層 | 若年層には親しみやすい語り口、高年層には丁寧な表現を使う |
性別 | 女性には感情に訴えかける、男性には理路整然とした説明を心がける |
居住地域 | 地域性を意識したトーンや事例を盛り込む |
購買履歴 | 過去の購入商品カテゴリに関連する新商品を案内する |
さらに、メールマーケティングではメール開封後の行動履歴を蓄積できるため、その人の興味関心に合わせてメールを最適化することも可能です。
メールマーケティングの種類
メールマーケティングには、目的や対象によって様々な種類があります。
- メールマガジン
- ステップメール/ナーチャリングメール
- ターゲティングメール
- リターゲティングメール
- 休眠顧客発掘メール
それぞれ詳しく解説するため、自社にあったものを見つけましょう。
メールマガジン
メールマガジンは、定期的にメールで配信される電子的な情報誌のことで、主にBtoC企業が最も取り組みやすい施策です。企業がターゲット層に向けて、新商品・サービスの情報や役立つコンテンツを発信するのに適しています。
一方通行の情報発信ではなく、読者とのコミュニケーションも重視されます。例えば以下のような工夫があります。
- 読者アンケートの実施
- 読者参加型のコンテンツ
- 読者からの質問への回答
ステップメール/ナーチャリングメール
ステップメール、またはナーチャリングメールとは、顧客をナーチャリング(教育)するためのメール配信戦略です。ステップメールでは、登録者の行動に合わせて、自動的に次のメールが配信されるように設定します。例えば資料ダウンロード後、製品紹介メール →デモ視聴メール→問い合わせ促進メールといった流れでメールが届くようにします。
メールを読んでいくうちに、顧客を目的の行動に誘導することが可能です。
ターゲティングメール
ターゲティングメールとは、顧客の属性や行動履歴などに基づいて、細かくセグメント分けされた対象にメールを送信する手法です。
例えば、以下のように送信対象を細分化できます。
- 年齢層
- 居住地域
- 購買履歴
- Webサイトの行動履歴
商材がターゲットにマッチしていれば多くの反応が得られ、メールからの購買率や成約率の向上に期待ができます。
リターゲティングメール
リターゲティングメールとは、Webサイトを訪れたが購入に至らなかった潜在顧客に対して、商品やサービスをリマインドするメールのことです。
リターゲティングメールの大きな特徴は、顧客の興味・関心に沿って個別的なメールを送信できることです。これにより、開封率やクリック率の増加、成果数(購入などの成果)のアップにつながる可能性があります。
ただし、リターゲティングメールの設定には、一定のWebに関する知識が求められます。また、初期設定には時間を要することもあります。
休眠顧客発掘メール
休眠顧客発掘メールとは、過去に商談があったが現在は活動が停止している(休眠状態にある)顧客に対して、再度ビジネスの機会を探るために送信されるメールのことを指します。
休眠顧客発掘メールの主な目的は、休眠顧客との関係を再構築し、新たな商談の機会を創出することです。
成功するメールマーケティングのポイント
ここからはメールマーケティングのポイントを5つ紹介します。メールマーケティングにはメリットがたくさんありますが、使い方を間違えるとあまり効果が見込めません。しっかりと戦略をたてたうえで、効果のある施策にしましょう。
①明確な目的と対象の設定する
メールマーケティングを成功に導くには、まず明確な目的と対象を設定することが不可欠です。
目的とは、メールマーケティングで達成したい具体的な成果のことです。例えば以下のようなものが考えられます。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客への再購買促進
- ブランド認知向上
- イベントへの集客
このように、目的を明確にすることで、コンテンツや配信タイミングなど、戦略を立てやすくなります。
一方、対象とは、メールを送付する相手のことです。例えば、新規顧客獲得なら、Webサイト訪問者、再購入を促進する目的なら、過去に購入経験のある顧客といった具合に、目的に応じて対象を設定します。対象が明確になれば、より効果的なメールマーケティングが可能となります。
②ユーザーにとって有益なコンテンツを配信する
メールマーケティングで成果を上げるためには、ユーザーにとってどのような情報が有益で、役に立つ情報なのかを分析し、ニーズを満たすコンテンツの配信を行いましょう。具体的には、下記3点を意識します。
(1)ユーザーからの相談やよくある質問に答えられるコンテンツの作成
(2)コンテンツ種類の設計
(3)更新頻度の設定
(1)ではターゲットが求める情報を網羅的に分析し、優先順位をつけて情報発信をすることが肝心です。お客様からの問い合わせ内容の分析や営業パーソンへのヒアリングを通して、ターゲットの関心が高い内容を把握しましょう。
コンテンツの種類はいくつかありますが、BtoB企業の場合は主にブログ記事かホワイトペーパーのようなダウンロード資料が考えられます。BtoC企業の場合は、新製品情報やクーポン券、特売日の情報などが有効です。
更新頻度の設定では、ターゲットに合わせた適切な間隔でメールを配信することが大切です。頻度が高すぎるとスパムと受け取られるリスクがあります。
③適切なタイミングと頻度の設定
メールマーケティングの成功には、送信するタイミングと頻度を適切に設定することが重要です。
BtoC商材の場合は相手の属性や職業タイプ、情報収集のタイミング、生活環境などを想定し、適切なタイミングで配信します。
当社の実績では、BtoB商材のメールは朝の始業前や昼休み前に配信することで、開封率が高まる傾向があります。
ターゲットの行動パターンを分析し、適切な頻度とタイミングを設計しましょう。
④テンプレート・デザインの最適化
メールのテンプレートやデザインを最適化することは、開封率やクリック率の向上に大きく貢献します。Web担当者Forumでのアンケート結果※によると、メールマガジン1通あたりの閲覧時間は1分以内になることが大半です。BtoB企業宛てのメルマガの場合は更に閲覧時間が短くなることも考えられますので、タイトルやキャッチコピー、画像などでメルマガの内容が端的に伝わるような工夫が必要です。
その他、以下のようなポイントに留意する必要があります。
- ブランドイメージに沿ったデザイン
- 見やすいレイアウトと適切な行間・文字サイズ
- 目的に応じた適切な画像の使用
- モバイル対応の確認
⑤A/Bテスト等による継続的改善
A/Bテストを活用することで効果的な文言やレイアウトを見つけることができます。
A/Bテストとは、同じ内容のメールマガジンでもタイトルを変えたり、使用する画像やレイアウトを変更し、実際に配信を行うことで、開封率やクリック率を比較する方法です。
実際の手順としては、下記を参考にしてください。
- 1.テスト項目と変更案を設定
- 2.異なるバージョンを配信
- 3.開封率やクリック率などの指標を比較
- 4.結果に基づき、優れた方を採用
このようにして徐々に1通のメール配信における効果を高めていくことが重要です。ユーザーの反応を確認しながら改善を重ねることで、メールマーケティングの効果を最大化できます。
メールマーケティングの成功事例
メールマーケティングで成果を上げている企業の事例を紹介します。
【東洋精密工業の事例】
東洋精密工業様は、フォトリソグラフィという特殊な技術を応用し、主に金属の板に微小な穴あけをしたり、複雑な形状を再現する加工技術を持っています。
自社で技術ブログの作成を行っており、特許製品の魅力や技術情報の発信を行っていますが、ブログ記事をメールでも配信して既存の顧客との関係づくりに取り組んでいます。
具体的には、2週間に一度のブログ記事の配信、新しいホワイトペーパーができた際の配信を行い、ダウンロードや問い合わせがあった顧客にアプローチをかけるなどの取り組みでエンゲージメントを高めています。メールマーケティングを始める前と後で、サイトへのアクセス数は約1.3倍に伸び、既存顧客の掘り起こしや、商談のきっかけに繋がっています。
出典:東洋精密工業様
メールマーケティングの重要性
メールマーケティングは、一般的な広告と比べて費用がかからず、効果の計測と改善が比較的簡単で、取り組みやすい施策と言えます。本記事で紹介した通り、メリットが多く、費用対効果に優れた有効な手法ですので、うまく活用していくことで売上向上につなげられるでしょう。本記事を参考に、是非メールマーケティングに取り組んでみてください。
メールマーケティングの「ネタ切れ」はアイリーラボへご相談ください
メールマーケティングを継続する中で最もよくある悩みが「ネタ切れ」です。
- 配信するネタが切れてしまった
- メールマガジンの文章を考えることに時間を取られ過ぎている。
- 記事を書いている余裕がない
といったお悩みはアイリーラボへご相談ください。
当社では、キーワード調査や顧客分析に基づいた戦略的なコンテンツ作りを得意としております。200社を超える製造業のWebサイト制作実績と、常時40社を超える運用コンサルティングノウハウで、お客様独自のコンテンツを制作し、メール配信に活かすことが可能です。
メールマーケティング戦略の立案から、メール内容の企画・テンプレート作成、配信代行、効果検証まで一気通貫いたします。
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