「製造業にブランディングは必要なのか」「ブランディングに取り組みたいが、なにから始めればよいのか」と悩んでいませんか。
シャネルやプラダなどは高価格で販売されているのにもかかわらず、なぜ売れるのでしょうか?
これらの高級品は、これまで築いてきた歴史や商品の品質などを訴求し、ブランド価値を向上させることで顧客から絶大な支持を得ているためです。
製造業においてもブランディングに取り組めば、自社製品の認知度拡大や新規顧客の獲得が期待できます。本記事では製造業にブランディングが必要な理由を解説し、ブランド力を向上させる方法について解説します。
製造業にブランディングが欠かせない理由
製造業は既存の取引先に製品を納品するケースが多く、新規顧客向けに自社の技術力やサービスを訴求できる場面が限られます。
しかしブランディングが上手く出来れば、自社の認知が浸透し、お客様にできるだけ早い段階で想起していただけるようになります。
例えば、日本で最も認知されている製造業のブランドの一つに、レクサスがあります。一般的にレクサスは高級車というイメージが定着しています。そのイメージ=ブランディングがあるため、あえて新規顧客にレクサスは高級車ですと説明せずとも、最初から高級志向の顧客が集まってきます。
レクサスブランドの所有者であるトヨタは大企業であるため、中小企業のブランディングは難しいと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。中小企業でもブランディングは可能です。
自社のブランドイメージが世間に浸透すれば、理想的な新規顧客の獲得や、売上の向上などが期待できます。
製造業におけるブランディングとは
製造業のブランディングでは、技術力やサービスなどのイメージ戦略が有効です。「○○といえば○○会社」と顧客に真っ先に思い浮かべてもらえる状態(第一想起)を構築できれば、自社を選んでもらえる可能性が高まり、商談や引き合いなどの依頼数の増加がを期待できます。
例えば「24時間以内の対応が可能」のサービスを訴求し、「短納期なら〇〇社」という世間のイメージを獲得することが出来れば、迅速な対応を望む顧客からの問い合わせが増えるでしょう。
また、寸法公差が厳しい製品の加工先を探している顧客には、「精密加工が得意」という技術力の訴求が有効です。「精密加工なら〇〇社」という世間のイメージを獲得できれば、高品質な加工を望む顧客からの問い合わせが増えるでしょう。
ブランディングがなければ、営業に行って「自社は精密な加工を得意としており・・・」と説明しなければなりません。
自社は何が得意なのかを棚卸し、理想的な顧客イメージし、その顧客に向けて自社の得意な部分が刺さるように、ブランディングをして自社の認知を広げていきましょう。
製造業におけるブランディングのメリット4つ
ここでは製造業におけるブランディングのメリットを4つ紹介します。自社の優れた技術力やサービスなどを訴求することで他社との差別化を図り、市場競争において優位な立場を確立しましょう。
メリット①問い合わせが増える
ブランディングは問い合わせが増えることに寄与します。「○○といえば○○会社」とブランドイメージが世間に浸透すると、顧客の要望に対応できる業者として真っ先に想起されるためです。
例えば、企業が製品の導入を検討する場合、知名度のある業者や好感度の高い業者をピックアップし、サービスや価格などを比較して選びます。
ブランド力があると複数の企業が提供する製品から自社を選んでもらいやすくなるため、これまで取引実績がない業界や企業からの問い合わせや依頼も増加するでしょう。
新規顧客の獲得を図る際は、「短期間で納品が可能である」や「製品の生産コストを抑えられる」などのブランドイメージを確立することが大切です。
メリット②競合他社に戦わずして勝てる
ブランディングの強化は、売上や利益率の向上にも有効です。自社の製品や技術力などの価値が競合他社と差別化できると、他社よりも優れた製品やサービスを提供する企業として顧客に認知されます。そうして信頼関係を築くことで「指名買い」を獲得できます。
例えば、レクサスが好きな人は最初からレクサス指名で、他のメーカーやブランドの車を最初から検討しません。これが戦わずして勝っている理想的な状態だと言えます。
長期にわたり良好な関係を築ける取引先を増やし顧客生涯価値(Life Time Value)を最大化させると、価格で争うことなく市場競争で優位に立つことができます。
メリット③販売戦略におけるコンセプトが明確になる(インナーブランディング)
インナーブランディングとは、企業内で従業員に自社のビジョン、ミッション、価値観を浸透させ、企業への愛着や一体感を高める取り組みです。これにより、従業員が会社の理念に共感し、団結して業務に取り組むことができます。
例えば、「高品質な加工」をブランドの核に据えた場合、社員自身が自社の加工品質に誇りを持ち、日々の業務においてもその品質にこだわる姿勢を持つでしょう。
しかし、ブランドの明確な設定がなければ、製品やサービスへのこだわりが希薄になり、結果として顧客に提供される品質にばらつきが生じる可能性があります。
ブランド価値を守るためには、まず社員がそのブランドに共感し、誇りを持てるように、設定されたブランドを企業内に浸透させることが重要です。
また、インナーブランディングにより経営の方向性にも一貫性を持つことができます。
例えば、「高品質な加工」をブランドとして策定すれば、営業活動が「安さが自慢です」「短納期対応できます」といった方向にブレることなく、全社員が一丸となって「高品質」を前面にアピールすることができます。これにより、経営方針も「高品質」を軸に据えた一貫したものとなり、企業全体が同じ目標に向かって進むことが可能になります。
従業員全員が企業のビジョンや目標を共有していることで、部門ごとの取り組みや判断が企業全体の戦略に沿ったものとなり、無駄なズレや混乱を防ぐことができます。
結果として、意思決定のスピードが向上し、組織全体で効率的かつ統一感のある行動が可能になります。これは顧客に対しても一貫したメッセージを届け、企業の信頼性やブランド力を高める要素にもなります。
メリット④社員の質が向上する(採用ブランディング)
顧客向けブランディングとインナーブランディングの両方が、採用ブランディングに大きな影響を与えます。これらの活動を一貫して行うことで、企業の魅力が外部と内部の両方に強く発信され、結果として求職者に対する企業のイメージが向上します。
まず、顧客向けブランディングを通じて企業の信頼性や魅力を高めると、求職者は「この企業は社会的に価値がある」「成長性がある」と良いイメージを認識します。これにより、企業に対する応募意欲が高まり、「この企業で働きたい」という動機づけが強くなります。
さらに、インナーブランディングを強化することで、社員が会社に誇りを持ち、ポジティブなメッセージを自然に外部へ発信するようになります。これにより、求職者は「この会社では働きやすく、社員同士が協力し合いながら成長できる」というイメージを抱きやすくなります。
つまり、顧客向けのブランド力が外部からの評価を高め、インナーブランディングが内部の働きやすさや社員の満足度を向上させることで、採用ブランディングが相乗的に強化されるのです。これにより、企業と求職者のマッチング精度が高まり、長期的に貢献できる優秀な人材の採用がしやすくなります。
製造業のブランディングを構築する5つのステップ
1. 自社の強みを探し、定義する(ブランド・アイデンティティを定義する)
自社のブランディングを確立するための第一歩は、競合他社と比較して自社が持つ独自の強みを見つけ、それを定義することです。そして、他者からどのように自社を認知してもらいたいか?の定義をすることも併せて必要です。
製品の品質や技術力、納期対応の柔軟性、アフターサービスの充実度など、自社が他社と差別化できるポイントを洗い出します。これには、社内の各部署や顧客のフィードバックをもとに強みを再確認することが役立ちます。
重要なのは、企業全体としてどの様に行動し、どう顧客体験に落とし込むか、それを今後の企業ブランディング活動の基盤とすることです。
2. 強みをもとにキャッチコピーを決める
強みとブランド・アイデンティティを明確にしたら、それをもとにキャッチコピーを作成します。
この時注意したいのは、大企業のようなあいまいなキャッチコピーにしてはならないということです。
例えば、自動車メーカーのトヨタでは「START YOUR IMPOSSIBLE」。日立製作所は「Inspire the Next」などがあります。知名度の高い有名企業ならばこういったコピーが効果的ですが、知名度の低い中小企業ではこのような抽象的なコピーは不向きです。
それよりも顧客や取引先が一目で理解できるような「直球系」のコピーが効果的です。企業の強みや提供する価値を簡潔に表現し、かつインパクトがあるものにする必要があります。
例えば「高精度な加工技術で、未来を創る」といった具合に、会社の技術力やビジョンをシンプルに伝える表現が理想です。
3. 策定したブランディングを全社員に周知する
ブランディングを成功させるためには、全社員が自社のブランディングを理解し、一貫した行動を取ることが重要です。
例えば「高精度な加工技術」ならば、社員一人ひとりが高精度な加工技術のブランドをしっかり認識し、守っていけるよう行動していかなければなりません。
ブランディングはマーケティング部門だけでなく、全社的な取り組みであることを社員全員に理解してもらい、各部門での理解と協力が不可欠です。
4. Webサイト、チラシ、名刺など情報発信に関するすべての場面でブランディングを打ち出す
ブランディングを一貫して打ち出すためには、外部に向けたすべての情報発信ツールにおいて同じメッセージを伝える必要があります。Webサイト、チラシ、名刺、SNSなど、それぞれ異なる媒体でもブランディングが統一されていることで、企業のブランディングがより外部に認知されやすくなります。
5. 作ったブランディング通りに行動する
ブランディングが単なる言葉や見た目だけで終わらないよう、実際の業務や行動に反映させることが不可欠です。
顧客や取引先に対して、掲げた価値観やビジョンに基づいた対応を行い、実際に提供している製品やサービスがブランディングと一致していることを示す必要があります。
これによって、企業に対する信頼感がさらに高まり、長期的な取引や新規顧客の獲得につながります。特に、社員全員がブランディングを意識して日々の業務に取り組むことが、企業全体の成長を促進する重要な要素となります。
ブランディングにはホームページの活用が有効
製造業のブランディングに取り組むなら、ホームページを用いて情報発信をするのがおすすめです。自社に興味をもった見込み顧客は最初にホームページを確認する可能性が高いため、自社の強みや競合企業、ターゲットの特性などを考慮したコンテンツで情報発信することによって、自社がどんな会社なのか知ってもらい、認知獲得が見込めます。
中小企業では予算的にTVのCMでの告知は難しいと思います。しかし、ホームページは定期的なメンテナンスさえ実施していれば、全世界に情報を発信でき継続的な集客が見込めます。ホームページを活用し、費用対効果の高いブランディングを推進しましょう。
製造業のブランディングに役立つWebの活用方法3選
ここでは製造業のブランディングに役立つWebの活用方法を3つ紹介します。
- オウンドメディアの運用
- SNSの活用
- ホワイトペーパーの活用
自社の情報発信に取り組み、費用対効果の高いブランディングを実現しましょう。
①オウンドメディアの運用
製造業のブランディングには、オウンドメディアの活用がおすすめです。コンテンツを通じて企業のビジョンや技術力、業界レポートなどを発信し続けることで、技術力の認知や課題解決力に役立つ情報などで顧客との信頼関係を構築することができます。
商談前に自社の好感度を高めることに成功すれば、成約へのハードルも下がり受注の増加が期待できるでしょう。ユーザーの興味を引く情報を提供し続けることで、長期にわたるブランドイメージの向上が図れます。
②SNSの活用
SNSも製造業のブランディングに効果的です。製品や技術力を写真や動画で視覚的にアピールできるため、技術の高さや製品の魅力を直感的に伝えることができます。また、企業の姿勢や取り組みを発信することで、信頼性を高めることができます。
SNSは採用ブランディングにも有効です。企業文化や働く環境を紹介することで、優秀な人材にアプローチし、採用活動を強化できます。
③ホワイトペーパーの活用
ホワイトペーパーのダウンロードページを設置するのもブランディングに役立ちます。資料を通じて自社に関心を持ってもらえれば、商談の獲得につながるでしょう。
例えば、業界の調査レポートやノウハウをまとめたユーザーにとって役立つ資料を提供することで、これまでに培った知見や専門性の高さをアピールできます。導入事例やお客様の声を紹介すると、製品の利用方法を具体的にイメージしてもらえるでしょう。技術力や製品の価値を訴求するのにホワイトペーパーは有効です。
製造業のブランディングには人材や予算の確保が必要
ブランディングを成功に導くためには人材や予算を確保し、マーケティングに関する専門的な知見を備える必要があります。
これらが不足していると「新規事業の認知度が高まらず、世間に浸透しない」「競合他社と差別化できるアピールポイントがわからない」などの課題に直面し、期待する成果をあげられない可能性があります。
マーケティングの知識を備えた人材を確保し、自社の技術が誰に求められているのかを正しく理解したうえでブランディングを実施しましょう。
製造業のブランディングを推進するパートナー企業を選ぶポイント
人材の確保が難しい場合、専門知識を備えた業者への外注も選択肢の一つです。外部委託する際は、製造業のブランディングを得意とする業者を選びましょう。
自社の掲げる目標と近しい実績をもつ外注先に依頼すれば、ターゲットの心理に適した施策の提案が期待できます。ブランディングの依頼を検討している企業がどの業界においてどのような施策で成果を上げたのかを確認し、自社の理想とする実績をもつ外注先を選びましょう。
弊社で製造業のブランディングに携わったクライアント様の成功事例
ここでは、弊社クライアント様の成功事例を紹介します。弊社のスタッフは製造業・BtoB企業での実務経験があるため、Webと製造業の知見を活かした施策の提案が可能です。
参考:ホームページ制作と運用による成果事例| 製造業BtoB特化Webコンサルティング
成功事例①0件から61件に問い合わせ件数が増加
金属加工業を展開するクライアント様に向けてWeb運用コンサルティングを実施し、問い合わせ件数が0件から61件に増加しました。ホームページのコンテンツ改修とPDCAサイクルの運用を実施した結果、オンライン上での顧客獲得に成功しました。
成功事例②年間売上金額が約4倍に増加
機械商社のクライアント様にWeb運用コンサルティングを実施し、年間売上金額が1,400万円から4,900万円に増加しました。ホームページのリニューアルを実施した結果、販売エリアも全国に拡がりました。
アイリーラボは製造業のブランディング向上を支援します
ブランディングに取り組めば、顧客の課題を解決する業者として真っ先に想起してもらえるため、新規顧客の創出が見込めます。ホームページを活用して自社のブランディングを行うことで、見込み顧客からのお問い合わせが生まれやすい状態を構築できるでしょう。
アイリーラボでは、デジタルマーケティングの導入からコンテンツの運用まで幅広い業務を請け負っています。「自社に適切なブランディング施策が知りたい」とお悩みの場合は、ぜひ弊社にご相談ください。製造業・BtoB企業での実務経験を活かし、最適な施策を提案します。
これまでの制作経験や改善事例などの効果を具体的に記載した資料を、下記のページからダウンロードできます。また、無料相談も受け付けていますので、是非ご利用ください。
投稿者プロフィール
- 主に製造業の企業様を対象に、BtoB特化型のWEBコンサルを行っております。広告運用、SEO、メールマーケティング等のデジタルマーケティングはお任せください。顧客獲得を目的としたWEB制作も行っており、クライアントの売上拡大に貢献しています。
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